Breast Cancer Fighting Illness

ある日届いた健康診断結果の封を開けた瞬間、乳がんと向き合う日々は始まりました

一晩明けて

2022.2.5

乳がん疑いになり、1日が経った。
昨夜からずっと寝続けて起きたのは朝10時近くだった。
起きてから携帯を触るたびに”乳がん”で検索をかけてしまう。
いい加減やめないと悪いことばかり考えて何もできなくなるなと思っていた。

娘が起きてきた。
昨夜からの異変を感じている娘は何があったのかを聞いてきた。
子供たちに話すべきか…まだ悩んでいる最中。
どう答えてよいのかわからぬまま口を濁していた。
が、割と勘の鋭い娘からどんどん範囲を狭められていく。
このままのらりくらりするよりはいっそ話してしまったほうが良いのかもしれないと思い、話すことにした。
本当は息子と娘がそろったときに話そうと思っていたが、息子はまだ起きてこない。
わざわざ起こすのも大げさになるな…と娘に先に話すことにした。

ショックを受けた娘は静かに泣いていた。
そうだよな、ショックだよな。娘はまだ高校1年なんだからな。
話さないほうかよかったのではないかと思ったとき、
娘がしっかり抱きついてきて
『絶対に治るよ』
と力強く言ってくれた。
そうだ、そうだよな。絶対に治ると信じないといけない。
そう強く思った。
言葉に出して言うことの大切さを改めて感じた。
娘に勇気づけられたな、ほんと。

息子が起きてきた。
寝起きはいつも機嫌が悪い。
買っていたパンをモソモソと不機嫌そうに食べる息子の前に座り、
『ごめんね、少し大事な話がしたいんだけどいいかな?』
と話し始めた。
なるべく大事のないように大げさにならないように話したが…
息子の顔はみるみる曇っていった。
そだよな、今まで大丈夫そうに文句ばかり言ってた目の前の親が”ガンかもしれない”と言われた時に子供の気持ち…想像を絶するよ。

『迷惑をかけないようにとは思っているけど、手術になるとやっぱりあなたたちに迷惑や不便をかけてしまうと思う。本当に申し訳ない』
と話したとき
『謝らないでくれ。迷惑なんて思ってない。誰もなりたくてなったわけではないのに』
と言われた。
そうだ、そうなんだよ。
でもね、私はずっと子供たちに罪悪感を抱いてきている。
私の思いだけで別居や離婚調停に巻き込んでしまった。
住んでる場所も不便をかけるような場所に変わったし、今までのような生活ができていない。
その上今度は私のガンだ。
どんだけ子供たちに不便を強いるのか?不安な思いを抱かせるのか?
いっそ別居を解消して、元の家に戻ったほうが良いのではないかとまで考えている。
このまま離婚調停を進めてもよいのかと不安になっている。
だから…子供たちには”申し訳ない”の言葉しか出てこないのだ。
それが良くないことがわかっていても。

案の定、息子のほうが相当なダメージを負った様子だった。
昔から息子のほうが繊細なのだ。
でも、娘はうちに隠す傾向があるのでもっと気を付けておかなくては。
こういう時、表に出せるほうが案外楽なんだろうなと思う。

子供たちに話すかどうかは本当に悩んだ。
昨日健康診断結果の封を開けた瞬間から悩んでいることだった。
正直、確定診断が出るまでは黙っておこうと思っていた。
私が隠すのが下手だったな。
あんなおかしな態度をとってしまったら…何かあったとすぐばれるよな。
昔から嘘がつけない性格が災いしたな。
子供たちには余計な心配をかけることになる。
それが彼らの人生にとってプラスの経験になることを今は祈るばかり。

暗い影ばかりでなく、明るい未来も見えてくるとよいな。